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茂浦のヘビ 備後熊野町の 伝説と民話から むかしなあ、茂浦に長さ五丈(約15m)もある、えろぉおおけぇ、くちなお(蛇)が、おったんじゃ。 それがなあ、春日さんのお宮の近くに、ようで出てきては、 とぐろを巻いて、休んでいたげな。 それに石をぶっけたり、棒でしゃくったりして、えどかす(からかう)と、一口に呑み込まれてしまうんで、皆の衆は、ちょぅてい(恐ろしい) ので、ちかよらなんだ。 だがなあ、わるさあ、せぬかぎりは、春日さんのお使いの鹿と、仲ようしてな、天気のええ日にゃあ、いつも一緒におったのよ。 ある年、日でりが続きよって、田んぼには、ひびが入り、川には、一しずくの水ものうなり、茂浦池の水がひてのう、鹿が水を飲もうとしても、げし(岸)からなんぼうか、池の底を 歩かんことにゃ、水たまりは行かれのよ、そのとき、鹿の足が沼にとられてな、動かれんようになったんじゃ。 なんぼうもがいても、足は沼に入り込んで、抜けんのよ。 そのようすを、 岩の上から見ていた、くちなおが、スルスルと出てきてな、鹿の足にしっぽを巻つけ、頭を岩につけて、沼から鹿を、助け出したんじゃ。ところがな、足を抜いたあとに、ふてえ穴んぼが、あいたんで。 何を思うてか、くちなおは、その穴の中に、へえってしまあたのよ。 なんと、不思議なことに、その穴から水が、ひょこり(とつぜん)出てきよって、見る見るうちに、池の水がふえて来て、じねんに(じぜんに) 池のげしまで、水がいっぱいになり、鹿は沼に入らんでも、水を飲むこたあできるようになったんじゃ。 それからというもの、茂浦の池はどんな日でり続きでも、水がのうなるちゅうことは、ずーっと、なあようになったもんよ。 せえで今では、上の原の 田んぼや、水道の水源地へ茂浦の水が、送られるようになっとる、というわけじゃ。 熊野学区ふれあい事業推進委員会発行 備後熊野町の伝説と民話より
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